まんがの裏の一丁目

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電子書籍の古本って本当に実現するのか?Amazonが取得した特許とは

電子書籍の古本が始まる?」とか騒がれているニュースを見たけれど、Amazonが取得した特許の原文を読むとちょっと違うんじゃないの?と思った。
ニュースの記事を読むと書いた人の憶測とか希望が混じっていて事実ではない部分があって勘違いしやすい。

一番信頼のおけそうなニュース記事はIT media eBookUSERが海外サイトのニュースを翻訳したものがある。その記事で今回の特許についてわかりやすい説明部分を引用する。

(前略)
 従って、許可されたのはデジタル古物を販売するストアである。このストアで重要なのは『ユーザーが使用済み電子コンテンツへアクセスする権利をもはや望まない場合、そのコンテンツが元のユーザーのカスタマイズされたデータ保管場所から削除されれば、ユーザーはそのコンテンツをほかのユーザーのデータ保管場所へ移動しうる』という点だ。


Amazonが取得した特許も日本語がされて上記の記事で紹介されている。

特許の原文


原文を読むとわかると思うけれど今回の特許は「電子書籍を含むデジタルコンテンツのアクセス権を他人に譲渡することができる」というものです。
それ以上でもそれ以下でもない。

それって所有している本を他人に売ることも無料であげることもできるって事じゃないの?そうだとしたら古本と同じことじゃない?と思うかもしれない。

確かに今後この特許が使用されたサービスが始まったら既存の中古市場と見かけ上同じ取引がされる可能性もあると思う。
でもそれは今すぐにという話ではない事を頭にいれておく必要がある。

そもそも特許を取得したというだけでサービスが始まったわけではない。

AmazonのKindleストアからは電子書籍ではなく、電子書籍を閲覧する権利を購入しているにすぎない事実も知っておくべきである。
その事実を念頭において読むと今回の特許が「電子書籍の古本」に関する特許ではなく「デジタルコンテンツのアクセス権を譲渡する仕組み」の特許であるとわかると思う。

「AmazonのマーケットプレイスでユーザーがKindleストアで購入したコンテンツのアクセス権を売買が始まる可能性が出てきた」という未来のビジョンが提示されているだけにすぎない。
Amazonがそのサービスを始めるには法的なハードルがまだ残っている。

電子書籍ではないが、アメリカでは昨年の秋に音楽ファイルのを売買できるReDigiというサービスが始まっている。中古CDのデジタル版といったサービスだが、現時点で著作権侵害訴訟を起こされている。
電子書籍で同じようなサービスを始めれば同じように著作権侵害の訴訟を起こされる可能性が高い。
このReDigiの訴訟の結果次第で電子書籍でも同じようなサービスが始めることが出来るのかわかるでしょう。

ただ、AmazonのKindleストアに限ってならば電子書籍の著者や出版社の許諾があればマーケットプレイスでアクセス権の金銭的な取引を始める可能性があると思います。
それを古本と呼ぶのはちょっと違うんじゃないかと個人的には思いますが。

もう1点仮に電子書籍の譲渡が可能になったとして、同じ電子書籍を複数所有できるのかという問題があります。複数の所有が不可能であれば古本屋のような買取業者は存在できなくなるのでは?

Amazonが買取をして中古市場の元締めをするかな~