まんがの裏の一丁目

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日帰りクエストとまおゆう

アニメが放送開始して注目されている「まおゆう魔王勇者」が数多のファンタジー作品やドラゴンクエストファイナルファンタジー等の和製RPGゲームが築き上げた舞台の上で成立している作品だという事に異論は無いと思う。

なにしろ世界設定の説明をほとんどしなくても読者におおざっぱではあっても共通認識があるのだからあのような書き方でも問題ない。それがわかった上で書いているだろうけれど。

 

過去にもそういった共通認識を前提として話が進んで行く作品はあった。わかる人だけ気がついて「クスッ」としてくれればいい使い方ではなく、それを知っていないとギャグとして理解出来ない使い方をしている。

 

スレイヤーズ」がそういう作品の一つだと言えると思う。

既存のファンタジー作品や過去の使い古されたお約束と呼ばれるものを知っている事を踏まえた上での言動があるというか、それがスレイヤーズという作品の売りになっている。

今同じ事をしたら何百匹目のドジョウなのかわからないくらいの事になるだろうが、刊行当時は実に新しい型破りなスタイルだった。

 

そのスレイヤーズを書いている神坂一氏の別の作品に「日帰りクエスト」シリーズがある。

「なりゆきまかせの異邦人(ストレンジャー)」

「困ったもんだの囚われ人(プリズナー)」

「見物気分の旅行人(トラベラー)」

「間違いだらけの仲裁人(メディエター)」

の全4巻の作品で、現代の女子高生が異世界のファンタジー世界に召還されて色々と活躍したりしなかったりする。

 

現代人が過去、もしくは異世界に召還されるタイプの作品は「戦国自衛隊」のように昔からある。「異世界に転送されたら未知の力が覚醒した」というのが定番で、海外作品で古いものだと「火星のプリンセス」などがその類いだろう。(火星のプリンセスの場合は未知の力が覚醒したというよりも地球よりも重力が弱いから相対的に自分が強くなったわけだが)

 

この日帰りクエストシリーズがちょっと違っていたのは主人公の女子高生エリには何の特殊能力もなかった事で、作中で活躍する時は知識や直感のみで危機を切り抜けている。

中世ファンタジー世界と現代との物事に対する認識の違いを使い古されたお約束を使ってちょっと斜めに描きながらシリアスな内容をコメディ風に書いている。

 

まおゆうを読んでいてこの日帰りクエストシリーズの事を思い出して読み返している途中で、共通している部分があると思うのだけれど上手く説明できない。

異世界召還という部分だけを見ると「ゲート 自衛隊 彼の地にて 斯く戦えり」の系統なんだけどね。

 

日帰りクエストは本棚のどこかにあるんだけれど探すのが面倒だと思っていたら電子書籍であったので買って読んでいる。

買ったのはBookWalkerだけど、Kindleストアにもあってそっちの方が若干安かったのでちょっとショックを受けている……数十円の違いなんだけどね。